お金の話に続いて、下水道を構成する業界について、少し
深堀りしたいと思います。
この記事を見れば、下水道業界が見えてくると思います。
下水道業界を構成する組織 ~国・地方自治体~
下水道業界の構成は以下になります。
・国
・地方自治体
・関連団体
・民間業者
・下水道を使う人
それぞれ簡単に説明していきます。
国(国交省)
国が行うことは以下になります。抜けあるので、本当に気になる方は
国交省のHPなどをみましょう。
・下水道に関係する法律を作ります
「下水道法」ですね。メインは。
詳しくは調べてませんが(今後調べたい)、自由民主党の下水道事業促進議員連盟という
ところと、国交省の官僚、業界団体が中心になり、法律を整備しているはずです。
改正履歴はこんな感じです↓
ぶっちゃけ、下水道に関する法律って新しいんですよね、法律の中では。
この辺については、別記します(がんばります・・・w)
・日本の下水道施策の全体像を示します
国としての方向性を決める作業ですね。これも与党(今は自民・公明)の部会・調査会・委員会で
決めているはずです。
改築更新をどうするのか、とか補助金をどうするかとか、法律の下でどのように
行政を動かすのかを決めています。
法律がなきゃ、立法するように促す、そんなイメージですね。
・予算を確保します
国の予算があってなんぼの業界なので、ある意味これが一番大事かも。
地方自治体からの概算(6月くらい)を集めて、9月くらいに概算要望を
とりまとめます。
その後、本要望をまとめて、3月国会で予算案を通す、と。
もちろん、財務省の主計官とギリギリしたやり取りをするわけですねぇ・・・。
いや~大変な仕事だw
議員さんから、業界団体からの陳情もあるだろうし(財務省へのね・・・w)、
やりたくはない仕事です、正直。
・補助金等の申請を受けます
形式上、下水関係の補助金はあくまでも地方自治体が国へ申請に行きます。
でも実際は予算がつかないと申請すらできないので・・・ね。
なので、確保した予算が執行できないと・・・大変なわけですね。
・新技術の開発の段取りをします
実用化されていない技術の実用化へ向けた研究開発のスキームを
国の方で作ってます。
たぶん、スーパーマリオのBダッシュにかけて「B-DASHプロジェクト」と言ってます。
公募型研究事業ですね。
大抵は
実証試験を行えるフィールド提供者(自治体)+技術をテストしたい企業+他機関(大学とか)
という事業体で行うことが多いですね。
これについても、細かいレビューをできれば。。。と思ってます(頑張れ俺・・・w)。
・積算体系をつくります
「下水道用設計標準歩掛表」という、下水道事業にかかる費用を積算する基準を
国が整備しています。
これは本で発売されていて、日本下水道協会で発行されてます。
下水道事業にかかる費用はわかりやすいのは工事ですね。
建物建てるのにいくら掛かるか、管渠を何キロ敷設するのにいくら掛かるか、
などを積算する根拠ですね。
あとは「計画を立てるためにかかる費用」「設計をするためにかかる費用」の
基準も整備してます。
他にももちろん、いろいろ(広報とか)やってますが、大まかにもこんなところでしょうか。
基本的に、国じゃないとできないことは国がやります。
地方自治体でできることは地方自治体に。
関係公的機関でできることはそっちに。
民間でできることは民間に。
ですね。
地方自治体
県・政令指定都市
流域下水道の整備・維持管理をします。
下水道は原則、地方自治体単位(市町村)での整備を行うのですが、
明らかに市町村またぎで整備したほうがいい立地だったり、小さな自治体で
下水道事業に長けた職員がいないときなどは市町村に代わり、県が整備を行うことが
あります。
最近は市町村合併により、流域下水道(県がやってた)が市町村管理に
戻る、という事例もありますね。
流域別下水道整備総合計画など市町村またぎの事業調整をします。
これも市町村跨ぎの調整ですね。都道府県同士の調整でもあります。
流域別下水道整備総合計画はざっくりいうと(ざっくり言ってばっかりですがw)、
その流域全体の水質を調整することです。
川は海か湖に流れ込むのですが、内海(東京湾とか瀬戸内海とか)は閉鎖性水域と
言われ、水の循環が外海ほど活発ではありません。
ゆえに汚れた水が滞留しやすいので、流域の自治体全体で水域に排出される
下水処理水の水質をコントロールしよう!という計画です。
これ、けっこう面白い仕組みで、水質向上のために頑張った自治体には
インセンティブあるんですよね。金かかる投資を流域のためにした、という
解釈ですね。
流域別下水道整備総合計画については別の記事で書きたいと思います(またまた頑張れ俺)。
市町村からの補助金申請の取りまとめします
国のところに書きましたが、国に持っていく前に市町村は県に持っていきます。
政令指定都市は県と同等なので、直接国に持っていきます。
補助金の箇所付は県単位なので、例えば
「〇〇市の工事がいろいろな事情で来年度に発注が延期になった」とか起こると、
その分の予算は原則、同じ県内で執行します(執行しないと、予算減らされちゃうからね!w)。
市町村
・下水道の整備・維持管理をします
市町村は下水道法や関連法規に基づき、下水道を整備するか、類似の方法で
汚水処理をすることで公共水域の保全を行います。
また、下水道事業は汚水だけでなく、雨水排除も行う必要があります。
下水道は土木建築機械電気の合体わざなので、専門性の高い技術ノウハウが
必要になりますが、小さな市町村にはその手の専門職員を抱えることができないため、
県や関連団体にお願いして事業をすすめることもあります。
維持管理も非常に重要ですね。
機械はメンテが大事だし、水質のコントロールは自治体やメンテ会社さんが
いろいろなノウハウを持ってます。
水処理については別の記事で書いてます。
・大きい政令指定都市などでは研究開発などもします
東京都や横浜市、大阪市などは大きな処理場(実証フィールド)を持っているし、
財政も豊かなので、自前で研究開発をしてたりします。
ってか、地方の小さい自治体の人から見たら、正直、
「へぇ・・・すごいなぁ」
って感じだと思いますw
地方はこういう研究開発に金をかける余裕が全く無いです。
本当に無いです(仕方ない)。
ですので、大都市に頑張ってもらうと。
・下水道利用者からの料金徴収をします
下水道の維持管理は原則はすべて受益者負担で賄うべきものですので、
下水道使用料を住民から徴収します。
水道料金の明細に書いたあると思いますが、水道使用量から下水道使用量を
算出し、料金を出してます。ですので、地下水を下水に流すのはダメですよ!
徴収方法は銀行引き落とし、クレカ、コンビニ払い、直接窓口で
払うこともできると思います。
料金徴収に関しては自治体直営が多いですが、民間に料金徴収業務を
委託している自治体も最近は増えてきてますね。
関連団体
公的団体
地方自治体の技術的な支援をします
下水道協会や日本下水道事業団、日本下水道新技術機構などがあります。
地方自治体、とくに小さな自治体の下水道事業に関わる技術的なサポートを
行います。
下水道協会はセミナーや刊行物の取りまとめなどを行います。
下水道事業団は地方自治体から下水道事業の計画設計工事発注監督業務を
委託され、代行してます。
日本下水道新技術機構は下水道事業に関わる新しい技術の調査研究開発と評価を
行います。
これらの団体は国直轄でやらなくてもいいけど、公共性が高い事業を
行っていると言えます。
他、国総研や土木研究所などでも下水道に関する研究は行われていますね。
技術基準等を整備します
日本下水道事業団などでは下水処理場に関する技術基準を整備しております。
技術は日進月歩なので、評価を行い、補助事業として問題ないかなどの
確認も行っています。
また、技術基準をまとめた刊行物なども発行しております。
技術の研究開発を行います
これらの公的団体は、地方自治体、大学、民間企業とタッグを組み、下水道に関する
技術の研究開発を行っています。
国の項で説明した、B-DASHなどにも応募してますね。これも国がやるほどじゃないけど・・・系のやつですね。
また、国際的なシンポジウムなどにも参加してます。
下水道展などのイベントを行います
下水道展などの広報活動を主催します。
最近は、マンホールカードというコレクターズアイテムを作成したりしてます。
下水道って、やっぱネガティブなイメージを持たれがちなので、
それを是正するための活動をしている、ということですね。
民間団体
官へ技術的な支援をします
・民間業者の要望を取りまとめます
・官へ意見や要望をつたえます
などなど
民間業者
コンサルタント
・国・地方自治体・団体へ技術的な支援をします
・↑からの委託で下水道事業の計画・設計・監理等を行います
などなど
建設会社
・俗にいう、ハコモノ工事を行います
などなど(具体的にどういう仕事をしているのかはまた詳しく記事書きます)
機械電気メーカ会社
・ハコモノに入る設備を設計製作施工します。
などなど(具体的にどういう仕事をしているのかはまた詳しく記事書きます)
④維持管理会社
・下水道の維持管理業務を地方自治体から委託され、行います
⑤その他
・廃棄物の処理とか、消耗品メーカ、試薬メーカ、材料メーカなどなど多岐にわたります。
下水道を使う人
・下水道を使います
・下水道使用料を地方自治体へ支払います
ざっと書くとこんな感じです。
これらの集合体が「下水道業界」ということになります。
建設会社、機電メーカがついてはまた別の記事で
細かく書きたいと思います。
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