下水道には2種類ある 合流式と分流式の説明

下水道関係

公共下水道の合流式と分流式について解説します。

予め言っておきますが、本当に詳しくは専門書(設計指針とかね)を購入してください。
もしくは他のサイトを見てください・・・w

このページでは概論を述べたいと思います。

家から下水処理場までは2つの方式がある

ここでは、公共下水道について書きます。
一般的な市町村が事業主体の下水道ですね。

「下水道の種類」というと合流式か分流式か、って話もあるし
流域下水道か公共下水道か、って話もありますがここでは前者の話をします。
要は「家から出た汚水(生活排水)の送水方法」の話ですね。

 

合流式と分流式

ここで言う下水道の方式は2つ種類があります。

①合流式

②分流式

の2つです。

二つとも街中に敷設された管渠を通って下水処理場まで汚水を
運ぶ、この機能を持っていますが、大きな違いがあります。

 

①合流式は雨水と汚水を処理します。

②分流式は汚水のみを処理します。

違いはこれだけです。
でもこれは大きな違いなんですよね。

 

詳しく書いていきます。

 

合流式下水道の特徴

合流式の特徴は

・大都市(と古くからある都市)に多い

・面整備にかかる建設費が安い

・大雨の時大変

などの特徴があります。

大都市部に多い理由は戦後から高度経済成長期に都市部に人口が
集中し、それに伴う汚水処理需要の急速な高まりから、早急な下水道整備が
求められた、という背景があります。

コストは管が一本で済むため、当然安いです。
管自体のコストが安いというより、土木工事の掘削面積等が減ることの
工事費削減のメリットの方が大きいですね。施工管理の手間も半分になるわけですし。

また、昔は管だけでなく、開渠という蓋のない水路も使われてました。
これは近年は蓋がされ、暗渠化していることが多いですね。

デメリット的な特徴は大雨の時大変ということです。

雨が降ると同じ管渠に雨水と汚水が入って下水処理場へ流れていきます。
大雨が降ると、多量の雨水が汚水に交じり下水処理場へ行くことになります。

このとき、下水処理場の処理能力を超える流入があると簡易放流をいう処理を
行います。

簡易放流は最初沈殿池で大きな夾雑物を沈降させ、塩素消毒を行っただけの
簡易処理水を公共水域へ放流することになります。

処理場を守るための簡易放流ですが、汚れの取り切れていない水を
放流するため、公共水域への影響が大きいと言えます。

東京湾でいま問題(五輪種目のスイムができる水質なのか?と)になってますね。
別の記事↓でも書いているので、参考にしてください。

【不定期】下水道ニュースレビュー 20190817 五輪遠泳水質問題について 【月二回くらいやりたい】
東京五輪の遠泳種目(オープンウォーター、トライアスロンの水泳)の 競技場所の水質が問題になってますね。

また、薄まった水が処理場内へ入ってきますので、水処理の運転管理が
難しくなるという問題もあります。
安定的な水処理は「安定した水質の汚水」が流入してくると楽なのですが、
雨で薄まった水だと独自のノウハウが必要になります。

それと、下水処理場へ流れてくる前に管渠の流下能力を超えた場合は
簡易放流すらなく公共水域へ出ていきます。これにより、オイルボールなどが
海岸へ漂着する、などの被害がでます。

メリットも大きいですが、高度経済成長時代以降は合流式ではなく、
分流式で設計されることが多くなってます。特に内海へ排出する自治体は。

 

合流改善施設

上記で示した問題を解決するために、合流改善施設の設置を行うことがあります。

これは、大きな滞水地(貯留池)を処理場敷地内や街中に設けることで、
大雨時急激に流入してくる水を一時的に滞留させ、その後安定的な処理を
するために設置するものです。

301 Moved Permanently

また、管渠内にスクリーン(汚れを濾し(櫛とる)取る装置)を設置したり
することもあります。

301 Moved Permanently

 

これは合流改善事業といい、合流→分流化と合わせて各自治体が対策を
しており、国もそれをバックアップしています。

 

分流式下水道の特徴

分流式の特徴は

・比較的新しく下水道を整備した都市に多いです

・雨水管と汚水管を分けるので面整備にかかる建設費が高いです

・汚水のみなので、負荷変動が低いので安定した処理ができる

などなど

合流式と分流式で大きく違うのは処理場以外の部分です。
管路に違いがあります。
処理場のハードウェアは基本的に大きな違いはありません。

 

メリット・デメリットは合流式の逆、って考えてもらって結構ですが、
分流式にも「不明水」と呼ばれる水が入ってきてしまい、それが問題に
なってます。

不明水は雨水か地下水が原因で、雨水がどこから入るかというと、

・公園の水飲み場や足洗い場の開口部から入ること
・小学校の水飲み場
・マンホールの隙間
・雨水管の誤接続
・意図的なご接続
・地下水の漏水

などが言われています。

降雨時は普段の1.5倍くらい水が入ってしまう下水処理場も
少なくありません。

不明水が多いと、下水処理場の処理能力の根拠がおかしくなってしまうので、
適切な水処理が行えなくなるリスクがあること、また無駄な水を処理している
ことになるわけですから、汚水処理にかかるコスト(電気代とか)が無駄に
かかってしまうこと、などが起こります。

各自治体、不明水対策には力を入れてますが、なかなか難しいのが現状です。
個別対策(不明水だけを改善する対策)は補助が使えないので、ストックマネジメント計画に
伴う調査を行うことでやっているのが現状です。

この不明水を見込んで施設の設計(とくに改築更新の)をしたいところですが、
表向きはできません。

故に、汚水に関するところは補助事業で、それより過大な部分は単独費で
行うように各自治体工夫して設計しています。

 

補足情報

下水道のハードウェアは

①管路施設

②ポンプ場・処理場

 

に大別でき、管路施設で雨水汚水を集めて、ポンプ場を経由して

処理場まで水を運ぶという流れです。

 

管路施設とポンプ場・処理場の技術的な体系がかなり違うので、

分けて考えていますね。積算体系も違います。

 

管路は土木工学・水文学・流体力学が中心。

 

設計としては

この面積に何万人住んで~〇〇mmの雨が降った時に~
時間最大で〇〇m^3の水をスムーズに流すには勾配がこれくらいで~
工事費を抑えるためにはあんまり深く掘れないし、この辺りでポンプ場が
必要だなぁ~
雨を一時的に貯める雨水貯留池も必要だなぁ~

というイメージでいいかと。

 

管路施設はその殆どが地下にあるので、どうやって工事すれば安くなるのか。

特に最近は管が老朽化してます。故に再構築する技術が求められている時代ですね。

下水道を止めないようにしながら、なおかつ更新していく・・・エライコッチャですw

 

管の種類とか、工法については割愛します。知識無いです、サーセン。

 

ポンプ場・処理場は
・土木工学(地面より下)
・建築工学(地面より上)
・機械工学(4力、制御)
・電気工学(強弱電、情報)

がメインで、水質に係る化学・生物も関わってきます。はっきりいって、工学の集大成と
言っても良いです。

設計手法については別記事で詳しく書きます。

 

実はワタシ

はっきりいって管路に関しては詳しくありません。

なので、今後は基本的にポンプ場・処理場について中心に書くことをお許し下さい。

 

更に言うと、土木建築についてもあまり詳しくありません。

機電中心に行くことをお許し下さい・・・サーセン

 

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